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糖尿病に対する鍼治療の一症例
−糖尿病性神経障害(外転筋麻痺)を発症した症例−

                    東洋医学研究所®
中村弘典、黒野保三
【目的】
 今日の糖尿病治療の目的は合併症の予防や進行の抑制に重点が置かれているが、その合併症の予防や進行の抑制には食事療法や運動療法を円滑に行うこと以外に治療方法はない。
 そこで今回、内科で糖尿病と診断され、食事療法と運動療法を指導されたが、これらの指導を守らず放置していたため、糖尿病性神経障害(外転筋麻痺)を発症した症例に対し鍼治療を行ったところ、1例ではあるが興味ある結果が得られたので報告する。
【症例】
  患者は66歳男性、主訴は糖尿病で物が二重に見える。治療方法は全身調整を目的とした太極療法(黒野式全身調整基本穴)と症状に随った局所療法とした。治療期間は平成16年6月21日から平成16年12月20日までの183日間(77回)で、週2回の頻度で30mm18号ステンレス鍼を用い単刺術を行った。治療経過は(社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部糖尿病班糖尿病カルテ及び(社)全日本鍼灸学会研究部不定愁訴班不定愁訴カルテを使用し、食後2時間血糖値と糖尿病自覚症状及び不定愁訴を指標に糖尿病のコントロール状態を客観的に検討した。
【結果】
  初診時の主訴であった物が二重に見えるが、3ヶ月後に消失した。また、初診時の食後2時間血糖値が233mg/dlであったものが、6ヶ月後に168mg/dlと改善され、糖尿病自覚症状点数が16点であったものが、6ヶ月後に8点と改善され効果判定は有効となった。さらに、初診時の不定愁訴指数が24点であったものが、22回目来院時には17点に改善され効果判定は比較的有効となった。
【考察と結語】
  生活指導が守られず症状が悪化した患者に対し、全身調整を目的とした鍼治療を行った結果、糖尿病状態の指標となる食後2時間血糖値及び糖尿病自覚症状点数に改善がみられた。また、すべての疾患のスクリーニングとして使用している不定愁訴指数に改善がみられたことから鍼治療は糖尿病のコントロール状態を良好に保つことにより、糖尿病合併症に対する治療の一手段として有効であることが示唆された。

キーワード:糖尿病、太極療法(黒野式全身調整基本穴)、血糖値、ヘモグロビンA1C、糖尿病カルテ

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