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        糖尿病に対する鍼治療の一症例
−鍼治療に運動療法を併用して症状が改善した症例−
                  愛知地方会・東洋医学研究所
                       ○中村弘典、黒野保三
【目的】今日の糖尿病治療は、合併症の予防や進行の抑制に重点が置かれ、食事療法や運動療法を円滑に行うために患者のアドヒアランスを高めることが重要であるといわれている。
 そこで今回、内科で糖尿病と診断され、食事・運動療法を指導されたにもかかわらず、これらの指導が守られなかったため、症状が悪化した症例に対して鍼治療に運動療法を併用したところ、糖尿病のコントロール状態に改善が認められたので報告する。
【症例】患者は62歳女性、主訴は糖尿病で両足がしびれる。治療方法は全身調整を目的とした太極療法(黒野式全身調整基本穴)と症状に随った局所療法とした。治療期間は平成13年1月18日から平成13年7月13日までの177日間(50回)で、週2回の頻度で30mm18号ステンレス鍼を用い、単刺術を行った。これに併用して毎日30分の散歩を指導した。治療経過は(社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部糖尿病班糖尿病カルテ及び不定愁訴班不定愁訴カルテを使用し、症状の推移及び血糖値(空腹時・3時間値)とヘモグロビンA1Cを指標に糖尿病のコントロール状態を検討した。
【結果】鍼治療前の空腹時血糖値は132mg/dl、食後3時間血糖値は283mg/dl、ヘモグロビンA1Cは6.5%であったものが、最終時に空腹時血糖値は124mg/dlと安定し、食後3時間血糖値は172mg/dl、ヘモグロビンA1Cは6.0%と改善された。また、糖尿病自覚症状点数は初診時の16点が4点と改善され、効果判定は有効となった。さらに、不定愁訴指数も初診時の21点が、22回目来院時には12点に改善され、効果判定は比較的有効となった。
【考察と結語】生活指導が守られず、症状が悪化した患者に対し、全身調整を目的とした鍼治療に運動療法を併用した結果、糖尿病状態の指標となる検査値及び自覚症状に改善が認められ、鍼治療は糖尿病のコントロール状態を良好に保つ一手段として有効であることが示唆された。

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